【レポ】古座街道。周参見~古座ポタリング。

さて、いよいよ秋本番。自転車に最適の季節となりまし
た。

オイラは、相変わらずののんびり食ったり休んだりのち
んたらポタリングで和歌山県はすさみ町まで輪行し、そ
こから走り始めて4時間半ほどで古座に着きました。

今回のコース。
古座街道(司馬遼太郎氏の著書、街道をゆく8巻で有名
なところ。B級ですが、それがイイ!)
大型連休だとか…。オイラは土日の2日間。最初の予定で
は、古座界隈の山中のひなびた鉱泉宿に泊まり、峠越え
の疲れを癒しながら、冷酒でも召し上がる予定だったの
だが、どうにも宿の手配が整わず、今回は断念となっ
た。

それで、前に走った古座街道をもう一度やるか、という
ことになったのである。

連休初日とあって、和歌山からの特急くろしお車内は混
んでいる。通路にいつもの輪行袋をくくりつけておく。
くろしおはどうにも横揺れが激しく、好きになれん。

気分悪くなるのを抑えながら、どうにかよたよたと周参
見に降り立った。前日の職場仲間との飲み会で深夜まで
遊んだのが、祟ったのか、体調はイマイチである。

駅舎前に輪行袋を広げてさっそく組み立てにかかる。も
う手慣れたもの。10分ほどでケリがつき、さて、行く
か…。

今回は、地理院の20万図の田辺をフロントバッグに挟み
込んできた。コースも一目瞭然。迷うことはまずない。

しかし、しばらく走って周参見川沿いに坂を上り始める
と、とたんに海岸の南国の雰囲気は消し飛び、片側の崖
にはびっしりとビロードのようなコケが生えている。雨
の多さを物語る。熊野の特徴だ。国道からちょっと山間
に入るともうそこは、隠国(こもりく)である。

深山幽谷の雰囲気が好きで何度か足を運んでいる古座街
道であるが、季節ごとに違った表情をしていて、峠屋に
人気のあるコースだ。しかし、首都圏などからあまりに
離れているため、自転車乗りにとっては、ある意味、憧
れの地でもある。

1時間ほどで雫の滝に着いた。道から20mほどを降る
と、清流の音がしてきて、目の前に二段の滝が姿を表
す。コケ蒸した深山の匂いを胸いっぱいに吸い込んでオ
イラは、ひたすら写真を撮る。

さて、よっこらしょと這い上がり、愛車を止めていると
ころで小休止。ペットボトルの水も半分をきった。
ちょっと焦る。この先、人家は見当たらない。まだあと
20キロほど走らないと人間の形跡に出会えないのであ
る。

急勾配になってきて、自転車を降り、ひたすら押す。ツ
クツクボウシの鳴き声がひっきりなしである。なんだ
か、昔見た天城越えの映画のワンシーンを思い出したり
した。

さて、いよいよ、つづら折りも最終コーナーにさしかか
り、第一のピーク。獅子目峠トンネルに到着。愛車をも
たせかけて写真を撮る。しかし、人に出会わない。村の
家はあるのだが、人影がまったくない。どの家も開けっ
放しである。田んぼの真ん中に置き去りにされた車の残
骸が時の経過を物語る。放置されたままで荒れ放題に
なっている畑もある。

小学校がちょっと大きな集落にある。昔ながらの昭和の
匂いプンプンの木造校舎。猫の額ほどの狭い運動場。

おっさんは、小学校の石垣に愛車をもたせかけて、人心
地ついた。ペットボトルの水もいよいよ少なくなってき
たが、幸い、自販機があって、補給には困らなかった。
見つけたときに補給。忘れたら、それこそエラい目に遭
うのである。

獅子目トンネルからのダウンヒルは爽快だった。一気に
さっきまでの汗が干上がり、ひんやりと風が心地よい。
何より、トンネル内は天然のクーラーそのもので、真っ
暗だが、手元のLEDの蛍の光だけが頼りであるからし
て、何を踏むか気が気ではない。

無事に通り抜けた。

さて、佐本(サモト)という集落に入った。年季の入っ
た郵便局の建物の佇まいがいい。のらりくらりと休んだ
り飲んだり、食ったり、写真を撮ったりなので一向に時
間にしては、距離が稼げないのであるが、それでいいの
である。わざわざ、のんびりとしにきているのであるか
ら、ペダルをだらーんとして、のんびり風に流されれば
いいのである。

しかし、どの家も自給自足に近いダッシュ村のような塩
梅である。たぶん、お金もそれほどかからない山村生活
なのであろうか?

そういえば、前回、古座川をカヌーで独り下っていたと
きのこと、相瀬に住むあのオヤジは元気にやっとるのだ
ろうか? 夏中、川遊びに興じているらしいので、ま
た、いずれ再会するだろうがw…。家が分かれば、酒の一
本でも提げて挨拶がてら半ダッシュ村の生活はどうです
か?といろいろ話を聞いてみたいものだ。

さて、そろそろ、七川ダムである。ここは、桜が見事で
毎年春になると桜祭で周囲の村中の人出で賑わう場所で
ある。オイラも親戚といっしょに行った記憶がある。

それにしても今日の七川ダムには、水がない!

これじゃ、カヌーどころでないな…。

添野川(そいのがわ)。七川とはよく言ったもので、七
本の川が合流する場所である。奥から、松根、平井、添
野川、と…。今回オイラは、周参見から添野川方面から
七川に出た。湖畔でキャンプしている家族ずれがいる。
どの人らものんびりとアウトドアを楽しんでいる風。

佐田の村を通過する。ここには、昭和初期の建築がその
まま残る郵便局舎があるので撮っておいた。ペンキの色
がイイ。なぜか、紀州には、とくに南部において肌色と
か、白といった洋風モダンな色ずかいの家家が多く建っ
ている。子供のころから不思議だった。

七川周辺では、今国道371の改修工事がどんどん進んで
いる。この風景もあと何年もつことか…。

七川発電所下の小さなつり橋を渡る。やっぱ水量が少な
いようだ。最近は鮎の数も減っていると嘆いていたな、
あのオヤジ…。

国道と反対側は、自転車にとってある意味天国だ。対向
車がまず来ない。そして、木陰でずっと走れるのであ
る。1キロもいくと美女湯温泉(みめゆおんせん)があ
るこの林道工事中に偶然湧き出たという温泉で少し離れ
たところには湯の花があちこちある源泉が流されてい
る。もちろん、汲んで帰るのも自由だ。

美女湯温泉に着いて、今日やってますか?
と尋ねると、オヤジ、やってるよ。でも、休日開けるか
どうするかで悩んでね。と。連休と言ってもね、ここら
まで来る人少ないよ。不景気やしね。と言ってた。

そういや、自転車愛好家にも一人も出会わなかったな。
寂しいもんだ。

ちょうど営業開始時刻だったので、たった一人まっさら
のお湯を占有した。これで大人300円。子供は100円であ
る。源泉から出てくるお湯がカルピスのような色で、湯
の花の匂いが濃厚でクラクラしてくる。

お肌もヌルヌルとしている。美女湯。名前に偽りはな
いようだ。

ここから心地よい川風に吹かれて、オイラはのんびりペ
ダルを止め、河口まで下るわけである。途中一枚岩トン
ネルを抜けると目の前にエアーズロックのような巨大な
屏風のような岩風景が飛び込んできた。この下のキャン
プ場で何年か前にODKでキャンプしたっけな?

楽しかったな。便所もそのままやな。

それにしても連休初日なのに、キャンパーは少なくサイ
トはガラガラ。どうなってるの?もうシーズンは終わ
り?

カヌーをしている人もまばらな感じ。二人用艇を発見。
道路からパシャリッ!

さて、ここらから、奇岩堪能コース。名前のあるの、な
いのいろいろ想像できて楽しいのなんの。天柱岩、飯盛
り岩、悲恋の伝説のある少女峰…、牡丹岩…。

月の瀬に着いた。ここには、温泉旅館が建っていて、以
前ODKのときも全員で浸かりに行ったなw。

今日は、もう温泉堪能したのでパス。

途中、河原では、バーベキューを楽しむ近隣の人。一生
懸命に釣り竿を投げつづける人、水中眼鏡をかけ、足ヒ
レつけて、潜ったり、顔出したりの繰り返しの人…。

皆、それぞれ、夏最後の川遊びに興じておるようです
な。

そして、独り気ままに自転車旅行と洒落込んでいるオイ
ラは、気になっていた、建築物。高池にあるというその
昔、古座地方を代表する若衆宿に使われていたというそ
の建物を探して、ふらふらと古座町内に入って参りまし
た。ありました。古座川役場からちょっとのとこに。

写真を撮り、とりあえず、腹が減って死にそうなので、
鰻をと…。しかし、行きつけの東さんは、休みだそう。
親切に家まで聞きに行ってくれた向かいのおばちゃん、
どうもありがとう。串本の人は、親切だな、と思う。

そして、わざわざ、もう一件紹介していただいたので、
そっちにおばちゃんといっしょに愛車を押して歩きま
す。

今日は、連休だというのに、人影がないですね。

そうやなー、不景気やさかいの。

そっかー。不景気か。

また、兄やん、来てくらんしよ。

とおばちゃんは言って去っていった。

そして、古座川店内に入ると真っ暗。

すいませーん!やってますかー?

4時からやからのぉー。もうちょっとしてから来てくら
んし…。

ハイ、ほな、4時すぎにまたキマース。

と言って、オイラは、古座駅横のいつものカヌー屋へ直
行。カヌーの兄やんと世間話。

今日は、周参見から自転車で峠越えて来たよ。

よー、やるわー。

と兄やん。

また、今度、カヌー来るときよろしくねー!

と言って、今日は、滝のように汗かいたので、まず、祝
杯の缶チューハイをプシューとやって、オイラは、さっ
きの鰻屋へ戻りました。うなぎ屋の前では、小学生らが
DSの奪い合いをしていて、田舎でも都会でも遊びは変わ
らんのでした。

うな丼上を食べ、肝吸いもしっかりいただいて、極上の
うな丼を食ったオイラは、もう幸せの絶頂にいて、帰り
電車の時間も気にせず、古座川橋の上からいつまでも太
平洋を眺めているのでした。そして、18時39分発のオー
シャンアローに乗り込んで爆睡しながら、帰宅したって
わけ。

☆⌒ヽ(*'、^*)chu

コメント

人気の投稿