芯の出ている自転車って?

私の自転車歴は、もう30年以上になります。
言わせてもらうと、単に組み上げるだけなら、誰にでもできるのです。

今日は、自転車の走りに対する違いを述べたいと思います。

自転車というものは、フレームという骨格にいろんなパーツがひっついて完成車となっているわけですが、このフレームに組み付いた状態で、前後ホイールの位置が一直線になっていて、BBやその他のクリアランスに狂いがないこと。

いわゆる芯が出ている、という状態で組つけられているのがプロの仕事です。

素人とプロの作業の違いは、この芯だしがきちんとできているかどうかなのです。
もちろん、安価な粗悪なフレームの場合、エンドなんかを何ヶ所か削って芯だししないといけない場合もありますが、そういうお粗末なフレームは元々そのような設計になっていないので、諦めるしかないかと…。

で、このフレームの芯だし作業ですが、実は特殊な工具がたくさん必要となります。

私は先日、自分の愛車のミニベロをのチェンホイール交換を行いましたが、実にびっくりしています。BBの右ワンがまったく締め付けられていなく、手で簡単に外せたこと。ま、手抜き作業の典型ですな。

あーあ、とため息をつきつつ、これら部品を一転ずつ外し、新たな交換部品に付け替えて作業しましたが、ここで、大きなミスをしたのです。右ワンを固いかな?と思いつつもそのまま専用工具にて、力技で締め付けてしまいました。見た目、きちんと装着できたし、走行時も異常なしなのですが、プロ根性の私にはどうしても合点がいきません。よーく見ると、右ワンとBBハンガー部に数ミリの隙間があるのです。明らかに平行が出ていません。要するにさっきいった芯がきちんと出ていない状態ですね。このまま走行はできますが、必ずや、右BB湾の変形をもたらします。変な方向に力がかかったまま回転を重ねるため、偏ってBB面のボールレースが削れてしまいます。

これらを解決するには芯出しの専用工具の登場となります。BBフェースカッター。これは、BB部の左右平行をきちんと出すための工具です。大変高価な工具になりますが、これで一度BB面の平行をきちんと出してから組み付けたBBワンは決して緩むことはありえません。それにホイールとかともきちんと芯だしができるので、部品の寿命も長くなり、結局は一生を通じて長く乗れる自転車をきちんと組めることになるのです。

もう一つは、完成間もないフレームにはスラッジや、塗料、その他、ゴミがいろいろとBB部のネジに付着していて、これが締め付けの障害となります。これらをきちんと取り除き、同時に左右のBB小物の平行を出すツールが、BBワン一軸タップです。これで、きちんと芯を出した状態でネジをさらいなおすときっちりとBBワンが左右とも装着できるのです。

この結果、BBスピンドルもフレームに大して、垂直に装着でき、ホイール面と完全に芯の出た状態でチェンホイールを組み付けることができるのです。

こうした、高価な専用工具は登場する機会こそ少ないのですが、これらの工具を使用しての組み付けこそが職人技として、数万もする技術料を取るに値するのだ、と私は感じます。

残念なことですが、これらの工具を使って丁寧な作業をしてくれる工房は今やわずかなようです。どうしもて芯だし、完璧なセッティングを要求する輩は、こうした工具を自前で調達して、自分で調整、レストアしていくしかないようです。

私も徐々にこれら憧れのツールを揃えて、万全を期するつもりでいます。こうすれば、メンテナンスはもはや芸術です。

●==============================================================================
参考URK:
フレームの芯だし
専用工具の使われ方など 特殊な作業(玄人向き)

コメント

人気の投稿