自転車屋を探して…。

随分と昔の話になるが、その当時、私は、古物部品に凝っていて、それらが眠っていそうな自転車屋を探してあちこち放浪していた。目星をつけたのは、神戸の奥地である。神戸電鉄に乗り換えて志染駅で降りた。新興住宅地の一角にその店はあったっけ。

昭和の匂いが残る個人店で、相談すると、やはり奥から段ボール箱にごっそりと昔のパーツが入って出てきた。紙製の手提げ袋両手いっぱいに買い取り、帰宅したことを覚えている。

その戦利品は一部は、今も愛車に使われている。いつの頃からか、古物部品に対する執着もなくなり、今は、現行のパーツで十分だと思うようになった。それも安いグレードの部品でも十分である、というふうに変わってきた。

例えば、ハブだけど、こまめにグリースを詰め替えてやる方が、長持ちするし、回転もいい。ホィールを手組しているので、振れとりと芯出しも毎回やっている。こうしてこまめにメンテしてやると、自転車はほんとうに長持ちする。

しかし、昨今のレストアブームのせいか、古物の部品価格が一気に高騰し、いやらしいほどに古物部品を漁りまくる輩が横行するようになってきた。見ていても嫌気がさす。ないとなると何がなんでも欲しいというのであろうか、高値をものともせずに飛びつき、後は、組み付けることもなく、仕舞いこむ、というようなこともあるらしい。

なぜ、規格も変わってしまったのに、未だに古物に執着するのかわからない。はるかに性能がよくて、丈夫で長持ちするいい部品が現行で出ているというのに…。

昔の自転車屋さんは技術力が高かったなーと今更に思うわけである。例えば、コッタード式のクランクでピンを壊してしまい、持って行くと、左右がきちんと180度になるようにピンを擦りあわせてくれて、セットしてくれた。さらに驚くほどに工賃も安かった。今、こうしたことをできる自転車屋さんはほとんどない、と思う。

さらにチェンリングで、Wピンが紛失すると、ちょうどいい厚みのワッシャーを持ってきて、取り付けてくれたり、中には、チェンリングにボール盤で穴を開けてくれて、W化してくれたりすることもやってくれた。当時、小学生だった私は、その技術力に驚嘆したものである。

いやはや、遠い昭和の頃の思い出です。
(=^・・^=)

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