秋になると旅愁が…。

 秋になると無性に旅に出たくなる。一年で一番好きな季節は?と聞かれると秋と答えるかもしれない。秋は、温泉、食べ物、紅葉と趣がある。

カラッとしていて、日陰に入るとひんやりしている感覚が好きだ。十津川街道を自転車で走っていたときのこと。ダムが次々現れて、人家も乏しく川沿いに続いている道路である。ダム湖畔は早くも紅葉が始まっていて、湖面に水鏡で山の形がよく写り込んでいる。

カーブを描いて日陰に入ると山の冷気が降りてきていて、ひんやりする。日向と日陰の温度差が対象的だった。時々、フロントバッグのマップケースの上に枯れ葉が舞い落ちる。どういうわけか、蜘蛛の巣も顔によく引っかかる。

シェラックニスの塗り込まれた乾いた感じのハンドルバーを握って延々十数キロ。やっとのことで、十津川の道の駅にたどり着いた。

腹が減っていたので、蕎麦屋に入り、梅とじそばを食った。そばもうまかったが、付いてきたお茶がまたうまかった。この辺は自前のそばが有名だそうだ。近くには、村民が利用している温泉の公衆浴場がある。以前、ドライブで来た際に試しに寄ってみたが、硫黄の匂いが濃厚で、肌がつるつるになるような温泉だった。秘湯である。泉湯という。料金は300円ほど。安い。

露天もあるので、ゆっくり浸かったが、外の木々の枯れ葉が次々、舞い落ちて湯の上に浮かんでいた。下はすぐ川である。ところどころ、湯の入口に湯の花が咲いていて、温泉の濃厚さがわかるというもの。手足を伸ばして一人貸切状態である。極楽だ。

新宮までの長い道のりである。

ぼぉーと回想していると今さっき走ってきたような感覚になる。もう何年も前のこと。9月といえども早朝4時は暗く、寒かったな。

途中、紀の川に朝日が登ってくるのが印象的だった。

なぜか、私は、秋になると十津川方面へ足を向けたくなる。日陰に入ったときのひんやり感や、ダム湖畔に写り込んだ紅葉した山の風景が忘れられないのである。

10月くらいになると旅行もできるだろうか。まったく予定は立たない。コロナ、仕事の過密さ、などなどいっぱい障壁はあって、たった3日の暇が作り出せないでいる。

最近はもっぱらいじる方優先になってしまい、やれコッタードだの、サンツアーだのと昔の部品ばかり漁っている。(´Д`)

古い部品を手に取ると、遠い昔のツーリングを思い出す。

なんだかんだ言ってもやはり私は自転車旅行が大好きなのである。

(=^・・^=)


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